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私、幸谷は東海大学創造科学技術研究機構に2011年1月にテニュアトラックシステムでラボ主宰者となりました。以来、ラボメンバーととともに 血液内科医として、臨床から研究シーズを見つけ出して、研究をすすめていくというスタイルでラボを運営してきました。
ラボ開設から10年が経ち、上記のスタイルからは、その研究結果を臨床に還元できるばかりではなく、病気の研究からサイエンスそのものの発展につながるような成果も生まれてきます。
臨床への還元については、様々な出会いのおかげで、希少疾患である劇症型NK白血病においては、clinical trialまでつなげられそうなシーズが見つかりました。 (BLOOD 2023)
画期的な細胞外小胞の修飾法を開発し、コロナ感染症で問題になったサイトカインストームへの有効性をしめしました。(特許出願)
病気研究からの新しいサイエンスの発展については、EBV感染症という特殊な状況からヒトの新しい小分子RNAが発見されました。(NAR 2014)
ヒト化マウスを用いたリンパ腫研究から、新たな細胞外小胞の作用機序を明らかにしました。( Cell Metabolism 2022)
ということで、これまで、あれやこれやに手を出してきましたが、運命のシーズに出会えたかもしれません。今後はこれまでよりは集中して運命のシーズに取り組みたいと願っています。まだ、研究自体は萌芽的なものも多いですが育ててホームページ上でも紹介してまいります。
大学院生は常にvery welcomeです。 また、常勤非常勤を問わず、いろいろな関わり方で研究に参加していただく方法、考えていきたいと思っています。ご興味をもっていただけなら随時ご連絡ください。
教授 幸谷 愛
難治性造血悪性疾患に対する新規治療を目指した基礎的研究
血液腫瘍は、癌の中でも特に研究が進んでいる分野です。 骨髄移植、イマチニブに代表される分子標的療法、レチノイン酸などの分化誘導療法、 サリドマイドによる血管新生抑制療法など様々な治療法が開発され標準治療法となりました。
私が研修医だったころ、経験からフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病はどんな治療法を行っても治らないと思っていました。 しかし、今、イマチニブを併用することで長期生存する方が大幅に増えました。 また、当時、骨髄移植といえば移植関連死が多く、危険な治療でありました。 担当の患者さんに移植の予定が入ると、"どうぞうまくいきますように"と神様に祈るばかりでした。 それが現在では、安全性が高まり以前では到底適応とならなかった患者さんに対しても移植が行われるようになりました。 その結果、移植適応疾患が拡大し、移植によって完治する患者さんも大幅に増えました。
このように、私が血液臨床、造血悪性疾患の研究に関わったわずか10数年のうちに、 造血悪性腫瘍は、治療法が著しく進化し、それにより治癒率の向上、生存率の向上がもたらされました。 しかしながら、それでも尚、難治性造血系悪性疾患は残され、若い命を含む多くの命が奪われているのが現状です。
そこで、私たちは、これら難治性造血系悪性疾患に対して、従来とは異なるアプローチで新奇治療法を開発することを目標に、 そのための基礎的な研究を行っています。
具体的な柱は
EBV関連リンパ腫や劇症型NK白血病における微小環境の意義と治療標的の同定
EBV関連リンパ腫やHBV肝炎における細胞外小胞の意義
がんにおけるリン脂質のリオクオリティの変化とその生物学意義
造血・造血疾患・肝炎における非コードRNAの機能
炎症性疾患における新規修飾細胞外小胞の治療効果とそのメカニズムの解明
1996年 京都大学医学部医学科卒業
2003年 京都大学医学研究科博士課程内科学博士課程修了
医学博士(京都大学)取得
2003年 京都大学医学研究科学術振興会特別研究員(PD)
2006年 Whitehead Institute for Biomedical Research
学術振興会特別研究員(PD)/出産育児復帰支援特別研究員(RPD)
2008年 東京大学医科学研究所先端医療研究センター 助教
2011年 東海大学創造科学研究機構医学部門 テニュアトラック准教授
2012年 さきがけ研究者(~2016年)
2013年 東海大学医学部再生医療科学 准教授
2014年 東海大学総合医学研究所造血腫瘍分野/東海大学医学部血液・腫瘍内科学 准教授
2015年 AMED-PRIME研究者(~2019)
2016年 東海大学総合医学研究所造血腫瘍分野/東海大学医学部血液・腫瘍内科学 教授
2019年 東海大学総合医学研究所造血腫瘍分野/東海大学医学部先端医療科学 教授
2024年 大阪大学微生物病研究所感染腫瘍制御分野 教授